コンテンツに進む
DISCOVER JAPAN with Artisan
2025.06.11

お姫様が立ち寄った高台、知っていますか?【岐阜県恵那市武並町】

タグ:#私の名所

こんにちは。47 TREASURE編集部です。


五本指の下駄「GETALS(ゲタル)」をつくる
職人・大森將人さんへのインタビューから、
ものづくりの背景にある“土地の話”をお届けします。


▼大森さんがGETALS(ゲタル)を作るまでの話はこちら▼

下駄なのに5本指!?元営業マンが6年かけて作り上げたGETALS 今回ご紹介したいのは、岐阜県の山あい恵那市武並町で「GETALS(ゲタル)」を作っている大森將人さんです。大森さんが作っている五本指下駄は、とても奥が深くて、大森さんの人生と重なるような一足なんです。

岐阜県恵那市の山あいにある、
祝峠(いわいとうげ)という静かな高台。

ここにかつて、将軍家に嫁ぐ姫君たちの
「休憩御殿」が建てられていたんです。


名前はそのまま——姫御殿跡(ひめごてんあと)。


現在は建物こそ残っていませんが、
その場所に立つだけで、
歴史の空気がふっと流れ込んでくるような、
不思議なスポットです。

 


「中山道」をたどると現れる、分かれ道の先

姫御殿跡があるのは、
旧・中山道の祝峠。

中山道を長島町の「槙ヶ根追分」から進むと、
道が二手に分かれる場所があります。


・左:明治時代に整備された比較的新しい山道

・右:江戸時代から続く古道(これが“祝坂”)


右の坂を上った先にあるのが、
姫御殿跡です。

標高のあるその場所には、
東西約100m、南北約50mの広い平地が広がっていて、

見晴らしの良さは抜群!
天気が良ければ馬籠宿まで見渡せるほど。

 

ここに「仮設の御殿」が建てられていた

江戸時代、将軍家に嫁ぐために
中山道を通った姫君たちのために、

この祝峠には仮設の御殿(休憩所)が
建てられていたという記録が残っています。


★1804年(文化元年)…徳川家慶に輿入れした楽姫の行列

★1861年(文久元年)…徳川家茂に嫁いだ和宮の行列


このとき、六畳と八畳の二間からなる
建物が作られ、

節のないヒノキ材、
絹の畳縁、漆塗り…と、
贅を尽くした仕様だったそう。


また、姫行列の見物客が増えすぎないよう、
検問所まで設けられたとか。

特別感がすごいですね。


ちなみに、
建物は一回限りで解体される
”建てては壊す御殿”だったとされ、

今では建物跡は残っていません。

でも、その“幻の御殿”を想像しながら歩く時間が、ものすごく贅沢なんです。

姫の行列、どんな風に見えたんだろう

「子どもから孫まで見渡せる
   縁起のいい場所」
として選ばれたというこの高台。

広くて、明るくて、静かで、
風の通り道になっています。


あの頃のお姫様も、
道中の揺れる輿の中で「あと少しで休憩よ」
と思ってたのかな、
とか想像をしてみるのも楽しいですね。

ここで出された味噌汁、
どんな味がしたのかな、とか。


そんなことを、
自然と想像してしまう場所です。


GETALS(ゲタル)の職人・大森さんは、

この姫御殿跡にまつわる物語から
「ひめごてん味噌」という特産品のアイデアを生み出しています。

「昔から竹並で作っていた味噌を、
現代のお姫様に届けたい」

そのストーリーを、
地元のおばあちゃんたちと一緒に
形にしている最中なんだとか!


“地域の伝説”が“今の挑戦”に
繋がっているって、本当に素敵だなと思います。


▼アクセスメモ

📍姫御殿跡(岐阜県恵那市武並町~武並町エリア)

アクセス:JR「釜戸駅」または「竹並駅」から車で約15分

徒歩ルートは中山道(祝峠経由)

看板あり/建物跡なし/眺望◎

静かな場所なので、マナーを守って訪問を◎

参考文献
・広報えな 2021年11月
https://www.city.ena.lg.jp/material/files/group/2/kouhou20211102.pdf

 

五本指下駄の商品ページは、 こちら

BACK TO INDEX