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2026.01.15

一月二十日、「二十日正月」という締めくくり

タグ:#発見

今日は1月15日。日本ではこの日を「小正月」と呼び、松の内とはまた違う、少し落ち着いた正月の節目を迎えます。

けれど、日本の正月行事はここで終わりではありません。
本当の締めくくりとされてきたのが、1月20日の「二十日正月」。

今回は、華やかさのあとに訪れる、日本ならではの「祝い納め」の文化をご紹介します。
 

年神様をお送りする日

二十日正月は、正月の間お迎えしていた年神様が、元の世界へお帰りになる日。
すべての正月行事を終え、日常へ戻るための大切な節目です。

かつては全国的に、この日をもって正月が終わると考えられていました。
現代では地域によって捉え方はさまざまですが、
12月13日の「正月事始め」からおよそ1か月続く一連の行事の最後を結ぶ日として、今も静かに受け継がれています。
 

食べきることも、祈りのひとつ

二十日正月には、正月のために用意したご馳走や餅をすべて食べきるという風習があります。この「食べ尽くす」という行為から、地域ごとに個性豊かな呼び名が生まれました。

●骨正月・頭正月(西日本/京阪神):
正月料理のメインだったブリや鮭を、頭や骨まで煮込んで残さずいただくことに由来。

●乞食正月(石川県):
残った正月料理をすべて平らげる様子から。

●棚探し(群馬県):
戸棚の奥に残っている餅や料理を探し出して食べることから。

●フセ正月(岐阜県):
正月の名残をきれいに食べ切る風習に由来。

どれも共通しているのは、いただいた恵みを無駄にせず、感謝とともに締めくくるという姿勢。
現代の暮らしにも通じる、大切な知恵がそこにあるのです。

二十日正月の郷土料理

祝いのあとの身体を労わるため、二十日正月には土地ごとの滋養ある料理が食卓に並びます。
●京阪神の「粕汁(かすじる)」 :
塩ブリの頭や骨を、酒粕・野菜・大豆と一緒に煮込む冬の定番。
酒粕に含まれるビタミンやアミノ酸が、正月の疲れた胃腸をやさしく整えます。

●中国地方の「麦飯・とろろ汁」:
二十日正月を「麦正月」と呼び、麦飯にとろろをかけていただく風習。
消化を助ける自然薯には、身体をいたわる意味も込められています。

●佐賀県の「ふなんこぐい」:
フナを昆布で巻いて煮込む郷土料理を恵比寿様に供え、商売繁盛や豊漁を祈願します。

●沖縄の「カミアレーショーグヮチ(かめ洗い正月)」 :
旧暦1月20日に行われ、豚肉の塩漬けを食べ切り、
保存用の「かめ」を洗い清める独自の文化が根付いているのだとか。

飾りを下ろし、日常へ戻る支度

二十日正月は、門松やしめ縄などの正月飾りを片付ける日でもあります。
地域の「どんど焼き」などで焚き上げるのが理想ですが、
難しい場合は、塩で清め、白い紙に包んでから処分する方法も。

ひとつひとつに区切りをつけることで、
新しい一年への気持ちも自然と整ってくのではないでしょうか。


忙しい現代では、正月気分もあっという間に過ぎ去ってしまいがち。 けれど、1月20日をひとつの節目として意識してみると、 一年の始まりを、より穏やかに迎えられるかもしれません。 もし冷蔵庫にお餅や魚が残っていたら、 二十日正月にそれらを美味しく調理して、 静かな「祝い納め」を楽しんでみてはいかがでしょうか。


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