新しい「三味線」? いいえ、三味線職人が作った「けん玉」です

三味線工房から生まれた、異色のけん玉をご存知ですか?
その名も”SHAMIDAMA(シャミダマ)”
世襲が多い三味線業界にゼロから飛び込み、自分の工房を構えた職人・河野公昭さんが手掛けたユニークな一品です。
ただの遊具ではなく、「三味線屋だからこそできた」発想と技術がぎゅっと詰まっています。
三味線の棹から着想を得た斬新なデザイン
「SHAMIDAMA」のデザインのもとになったのは、三味線の棹の先端部分。
そこには三本の糸巻きが並びますが、河野さんはそれを見て
けん玉の“剣”を三つにしてみたら面白いんじゃないかと考えました。

一般的なけん玉は剣がひとつ。
でもSHAMIDAMAは”3つ”。
お皿に玉を乗せるのではなく、三本の剣に刺すようにして遊ぶ
――これが想像以上に難しいんです。
河野さん自身も「全然できないよ」と笑いながら話すほど。
でもだからこそ「できた!」という瞬間の喜びは大きく、
普通のけん玉とはまた違う達成感が味わえるんじゃないでしょうか。
単なる遊び道具ではなく、会話が弾み、人に見せたくなる“話題の種”になるのも魅力です。
音にこだわる職人ならではの木材選び
特別なのは、デザインだけではありません。
素材に選ばれている木も、三味線づくりを本業とする工房ならではのこだわりがあります。
例えば、棹に使われる硬質な唐木 紫檀(したん)や花梨(かりん)。
これらは玉が当たると軽快で澄んだ音を響かせます。
胴に用いられる 欅(けやき) は力強い音色が特徴で、音楽の余韻を感じさせます。
さらに、縁起の良い木とされる 槐(えんじゅ) や、ナチュラルでやさしい色合いの 栃(とちのき) もラインナップ。
見た目で選ぶ? 音で選ぶ?
――遊ぶ前からワクワクするのは、まさに楽器職人の感性が生きているからこそです。
木材によって手触りも響きも変わり、ひとつとして同じものはありません。
単なる遊具を超えた、三味線職人渾身の一作
けん玉が世界的に普及しているのに対し、「SHAMIDAMA」はもっと自由。
三味線屋がつくる“けん玉じゃないけん玉”
――そんな立ち位置だからこそ、遊び心が前面に出ています。
難しい技に挑戦してもいいし、ただ”見せる道具”として飾ってもいい。
三味線屋の視点から生まれたこの新しいけん玉は、工芸と遊びの交差点に立つ存在です。一投ごとに「できるかな?」「惜しい!」と笑いが生まれ、その時間そのものが思い出になるんじゃないでしょうか。
