浴衣地から生まれた特別なTシャツのご紹介

画像提供:小栗織物株式会社
この生地、実は浴衣用なんですよ
そう教えてくれたのは、Lomono(小栗織物株式会社)を手がける作り手でした。
細やかな織り模様、ふわりとした軽さ、
そしてどこか懐かしさのある風合い。
このTシャツの布地は、静岡県浜松市周辺で織られる
「遠州織物(えんしゅうおりもの)」という織物から生まれています。
遠州織物は、江戸時代から続く伝統的な綿織物。
浜名湖の湿潤な気候と、職人の高い技術によって、やわらかく、
肌になじむ風合いが育まれてきました。
本来は浴衣や和装に仕立てられていた布。
けれど今、その出番は年々少なくなってきています。
”せっかくの良い布なのに、
特別な日にしか着られないなんて、もったいない”
そう話す作り手が生み出したのが、この日常にそっと寄り添うTシャツでした。
今回は、遠州織物で仕立てられたTシャツをご紹介します。
小幅の布で、Tシャツを仕立てるという挑戦

画像提供:小栗織物株式会社
和服のために織られる遠州織物は、幅が約40cmととても細い「小幅織物」。
Tシャツのような洋服を作るには、何枚もの布を継ぎ合わせなければなりません。
” 効率は非常に悪いです。
でも、うち以外でこういうTシャツを作る人、たぶんいないと思います”
その言葉の奥にあるのは、効率やコストよりも
”今ある技術を日常に活かしたい” という強い想い。
織物の継ぎ目もあえて目立たせず、
模様の流れが自然に見えるよう、縫製にも工夫が施されています。
細部まで心を込めて作られているからこそ、
日常にすっと溶け込みながらも、ふとした瞬間に特別感が立ち上がる。
そんな1枚に仕上がっています。
仕立てるのに1~2か月の時間がかかることも。
それは量産ではなく、手に取ってくださる方のための一着として
作り手が時間をかけて向き合っているからなのです。
昔ながらの織を、いまの暮らしに。そして未来へ

画像提供:小栗織物株式会社
遠州織物という伝統の布。
浴衣地という季節の装い。
そして、現代の暮らしに馴染むTシャツ。
時代を超えて受け継がれてきた技術と知恵が、
今このかたちになったのだとしたら、
それはきっと、未来へつながる一歩。
”着ることで残していけたらうれしい”
作り手のそんな願いを、そっと日常に取り入れてみませんか。