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2025.12.25

新春の祝杯をより味わい深く。酒器の選び方

タグ:#発見

新しい年を迎える準備が、少しずつ整ってくる頃。
お正月の食卓には、おせち料理とともに「祝い酒」が並びます。

いつもより少しだけ良いお酒を選んでみたり、
離れた土地の蔵元から、懐かしい銘柄を取り寄せてみたり。
年末年始は、自然とお酒と向き合う時間が増える季節ではないでしょうか。

そんな一杯を、どんな器で味わうか。

お酒の銘柄にこだわるように、そのお酒を注ぐ器もこだわってみませんか?

日本酒は「酒器によって味が変わる」と言われるほど、繊細で奥深い飲み物。

唇に触れた時の温度、ふわりと立ち上がる香り、
そして手にしたときに伝わる素材の感触。

今回は新年の晩酌をより味わい深いものにするための酒器の選び方をご紹介します。
 

温度と口当たりで選ぶ素材

●凛とした冷酒には「ガラス」
透明度の高いガラスの酒器は、見た目にも清々しく、冷酒に好相性。
お酒の色味をそのまま楽しめるだけでなく、
味わいをシャープに、フラットに感じさせてくれます。

繊細な香りとキレを楽しみたい大吟醸酒などに、
まず選びたい素材です。

●温もりとまろやかさの「陶器」
土から生まれる陶器は、手に取った瞬間のやわらかさが魅力。
厚みのある飲み口が、日本酒の角をほどき、
味わいをまろやかに包み込みます。

お米の旨味がしっかりと感じられる純米酒や燗酒と好相性。
保温性にも優れ、冬の夜にゆっくりと杯を重ねる時間に欠かせないアイテムです。

●酒の味を磨く「錫」
古くから酒器として愛されてきた金属・錫。
「錫でお燗をつけると一級上がる」と言われるほど、
お酒の雑味を取り除き、味わいをまろやかにする効果があると言われています。

熱伝導率が非常に良いため、冷たいものは冷たく、温かいものは温かいまま、
温度をダイレクトに感じられるのも錫ならではの魅力

●ハレの日の香りを纏う「木(枡)」
新年のお祝いに欠かせないのが「枡」。
スギやヒノキの清々しい香りがお酒に移り、日本酒の旨味を引き立ててくれます。
「福が増す」という言葉遊びも相まって、
年の始まりにふさわしい縁起の良さを感じさせてくれる酒器です。
 

香りを引き出す、器のかたち

●香りを愉しむ「広口」
ワイングラスのように飲み口が広く、ボウル状になっている器は、
お酒の表面積が広くなるため、華やかな香りが立ち上がりやすくなります。

フルーティーな吟醸酒の香りを存分に楽しみたいときや、
ゆったりとした気分で味わいたい時には、
口径の広い「ぐい呑み」や「平盃」を選んでみてはいかがでしょうか。

●粋に味わう「狭口」
お猪口のように口径が狭い器は、香りが拡散しすぎず、
お酒がスッと口の中へ流れ込みます。

すっきりとした淡麗なお酒を、粋に、そして軽快に楽しみたいときにおすすめ。
また、容量の小さなお猪口はお酒がぬるくなる前に、飲み切ることができるため、
冷酒や熱燗の「適温」を逃さずに味わうことができます。
 

注ぐ器にも、ひと工夫

飲む器だけでなく、注ぐ器に目を向けてみるのも一案。

●徳利
首がすぼまった独特の形状は熱を逃しにくく、燗酒にも冷酒にも使える万能なアイテム。
注ぐ時の「とくり、とくり」という音もまた、一興です。

●片口
口が広く香りが立ちやすいため、冷酒や常温のお酒をサーブするのに適しているアイテム。
デザイン性に優れたモノが多く、食卓に置くだけでモダンな雰囲気を演出できます。

●ちろり
湯煎で燗酒をつけるための道具。特に錫や銅製のちろりは、お酒全体を素早く均一に温めることができ、専門店のような燗酒をご自宅でも楽しんでいただけます。
 


新たな年をこだわりの一客とともに。

金箔があしらわれた酒器で新年を祝うもよし、土の温もりに触れながら静かに燗酒を啜るもよし。
日本酒は、季節や料理、そしてその時の気分に合わせて酒器を選ぶことで、幾通りもの表情を見せてくれます。

「器が変われば、味も変わる」
そんな大人の遊び心を嗜みながら、ご自身のお気に入りの酒器を見つけてみてはいかがでしょうか。
こだわりの一客で味わう一杯が、皆さまの新年をより豊かで味わい深いものにしてくれることを願っております。

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