下駄なのに5本指!?元営業マンが6年かけて作り上げたGETALS
こんにちは。47 TREASURE編集部です。
今回ご紹介したいのは、
岐阜県の山あい恵那市武並町で
「GETALS(ゲタル)」を作っている
大森將人さんです。
大森さんが作っている五本指下駄は、
とても奥が深くて、
大森さんの人生と重なるような一足なんです。

そもそも「GETALS(ゲタル)」って何だろう?
となった方(私も初めはそうでした)に
簡単に説明させていただくと、
ゲタルは、普通の下駄と違って、
5本ソックスのように足指を開放して履くことができます。
ゲタルという名前は下駄(ゲタ)と
サンダル(サンダル)を組み合わせた造語なんです!
履いてびっくり、
足の自由を感じることが出来る新感覚の履物です。

この五本指下駄を形にするまで、なんと6年。
自ら意匠登録し、
商品名を「GETALS(ゲタル)」として世に出したとき、
大森さんはすでに50歳を迎えていました。
大森さんってどんな人?京都生まれの元営業マンです

名前 | 大森將人 |
誕生日、年齢 | 昭和39年3月5日、現在61歳 |
出身地 | 京都府 |
作っている工藝品 | GETALS(ゲタル) |
好きな食べ物 | 唐揚げ |
休日の過ごし方 | 自分の城(工房)にいる |
子供のころの夢 | 医者→学校の先生(実際に社会科の免許は持っているそう) |
今、岐阜県恵那市の武並町という里山に住み、
「嵯峨乃や(さがのや)」というお店で
五本指下駄を作っている大森將人さん。
元々は、モノづくりなんて全然していなかったそうで、
大学卒業後、東京の会社で営業マンとして
勤務→転勤の連続→福島や福岡、京都など
各地を回っていた“全国転勤族”でした。
そんな大森さんが“下駄職人”になるなんて、
本人も思っていなかったそうです。
はじまりはたった一言「五本指の下駄って作れませんか?」
きっかけは、転職後にやっていた
着物メンテナンスの仕事中、
あるお客さんの一言。
「五本指の下駄を作ってほしい」
正直半年ほど放置していたらしいんですが、
ふとしたきっかけで再始動することに。
ここから、なんと6年という開発期間が始まります。
ひらめきは“前ツボ4つ”だった。だけど、ここからが長かった
普通の下駄というと、
鼻緒が一本で“親指と
その他”を分けて履くスタイル。
ですが、5本全部を分けるには、
それだけでは足りません。
大森さんは、
長野県・木曽の職人さんに鼻緒のすげ方(※)
を学びに行った際、
「前つぼ(※)4つつけたらいいんや!」
とひらめきます。
調べても前例のないアイデアだったそうです。
つまり、これは「誰もやってない形」。
その構造を意匠登録
(いわゆるデザインの特許)まで出願して、
「GETALS(ゲタル)」の土台が固まっていきました。
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※すげる:下駄や草履などの履物で、台に鼻緒(花緒)を取り付ける動作を指します。
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※前ツボ:草履や下駄の鼻緒(足の指の間を通す部分)が、履き台に固定されている部分のうち、足の親指と人差し指の間を通る部分を指します。具体的には、鼻緒の先端部分が履き台に挿げられる(すげられる)部分を指します。
職人にも断られて、自分で穴を開けた話
「前ツボ4つ」なんて聞いたことがないので、
周りの職人さんたちの反応はかなりシビアだったそうです。
鼻緒職人:「そんなん出来ない」
台座職人:「そんなん売れないし、
普通やったら廃棄になるからできない」
でも大森さんはここで終わらず、
交渉を続けたところ、
関西・滋賀の鼻緒職人さんが
協力してくれることになりました。
台座の穴は協力してくれる人が見つからず、
「もう自分で開けるしかない!」
と、実際に大森さんご自身も作業をスタート。
どこまでいっても手作業で、
試行錯誤の連続だったそうです。
30足完売。そして「GETALS(ゲタル)」が世に出た
完成したものをお客さんに持っていくと
とても喜んでもらえたそうです。
最初の30足は、
ある体操教室の先生からの紹介で販売を開始。
結果…即完売!
この実績があって、
ようやく台座職人さんにも「じゃあ穴開けてみるか」
と動いてもらえるようになったんです!
と笑いながら大森さんは語っていました。
そこから徐々に、
「GETALS(ゲタル)」という下駄が
人の目に触れるようになっていきました。
「1か月、寝てないときもあった」ソフトと格闘した日々
「GETALS(ゲタル)」が形になってからも、
また次の山がやってきます。
自社で製造体制を整えるために、
機械を導入したのが2018年のこと。

起動するのに20分かかるそう
ここからがまた大変で…!
機械を動かすためのソフトを、
パソコンで自分で
扱わなきゃいけなくなったそうです。
「ちんぷんかんぷんで、ほんま1か月くらい寝てないときがあってね」
と、話してくれた大森さんですが、
その裏では、
「こうしたらいいのか、いや、ああかな」
と考えながら必死で勉強してたとのこと。
大森さんいわく、
今振り返るとあのときが
一番「達成感があった」そうです。
朝5:30起き。1日10足、今も作り続けています
現在、大森さんは
朝5時半に起きて新聞を読み、
7時には工房で機械を動かし、
日が暮れるまで作業しているそうです。
「GETALS(ゲタル)」の製造は
流れ作業だそうですが、
基本は全部手作業。
1日に作れるのはだいたい10足ほど。

ここだけ急に“人間味マシマシ”になりますが…
大森さん、からあげが大好きだそうで、
“奥さんがたまにお弁当買ってきてくれたりするんやけど、必ずからあげある?って聞くくらい(笑)”
インタビューを通して
こんな可愛らしい一面もうかがえました。
お弁当にからあげがないとちょっと落ち込むそうです。
そして晩酌は400円のペットボトルワイン🍷
さらには、保護猫2匹と一緒に暮らしていて、
冬は夜中に布団を何度も開けられる
日々を過ごしているそうです。
(猫は巨大猫とのこと(笑))
Instagram毎日更新中。60代から始めたSNSチャレンジ
今、大森さんが挑戦しているのがInstagram。
「60代でもSNSできるって見せたいんです」
とのこと。素敵ですね。
毎日投稿しているのが
「30秒チャレンジ」(※)動画。
実は撮り溜めしてるそうです!
2025年5月3日【毎日挑戦】閉眼片足立ちバランスの静止に挑戦しています。まずまずの記録でした。足指が鍛えられています。 pic.twitter.com/P9bNPpIOob
— GETALS(ゲタル) (@unlimimasa) May 2, 2025
しかも、30秒を超えるまで
何度も撮り直すというこだわりっぷり。
「やりすぎて次30秒超えないと
アップできなくなった(笑)」
と話していました。
マメで努力家な一面をうかがえました。
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※大森さんがゲタルを履いた状態で片足立に挑戦する企画で、ゲタルを履くことでの健康効果を身をもって証明しています!閉眼片足立ちバランスの60歳の平均は15秒だとか。
▼そんな大森さんが運営するInstagramはこちら

“誰もやってないこと”に飛び込んでいく人生
”ゲタルを世界中の人に履いてもらうことやね。
あとは今60歳で61になるけどSNSとかやってみてて、60歳の平均越えを目指しているね。
自分で体現しながらゲタルを世界中に広げたいね。”
と今後の目標を語る大森さん。
ゲタルを世界に届けたい。
地域の特産品も作りたい。
60代でも、やれることはまだまだある。
「誰もやっていないからこそ、自分がやる」
そんな風に話す大森さんは、
たぶん今まさに“水を得た魚”。
職人って、
ただ物を作ってるだけじゃないんだなあ
と思わされました。
ちょっとでも心が動いた人は、
ぜひ一度ゲタルを見てみてください。
あなたの足元に、
新しい自由が生まれるかもしれません。
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