意外と知らない??だるまの目入れ

縁起物として親しまれるだるまさん。
「目ってどちらから入れるの?」
「いつ入れればいいの?」
そんな素朴な疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
今回は、だるまの目入れについてご紹介します。
だるまの目入れとは
だるまの目を入れる所作は「開眼(かいげん)」と呼ばれ、
願いに命を吹き込み、心の目を開くような大切な儀式。
目を入れるタイミングは大きく2つ。
(1)迎え入れ直後
(2)願いが叶ったとき
この2つの流れで、だるまは一年を見守ってくれます。
願掛けは左目から
だるまを迎えたら、できるだけ早いタイミングで開眼してあげるのが良いとされています
特に年始に迎えた場合、気持ちの切り替えも相まって、良いスタートの合図に。
高崎だるまの産地・群馬県では
年末のうちにだるまを買って、お正月に飾るのが恒例なんだとか。
その年の願いや抱負を胸に、家族や仲間と一緒に開眼するという、温かい文化が息づいているのだそう。
日柄を選ぶなら、
大安・友引・先勝、そして正月三が日などの吉日が選ばれることが一般的。
作法はシンプル。
だるまの左目(正面から見て右側)に願いを込めて描き入れます。
これは縁起だるま発祥の地・少林山達磨寺でも代々受け継がれてきた方法です。
もう一方の目を入れるタイミング
最初の片目に願いをこめたら、あとは日々の積み重ね。その願いや目標に区切りがついたとき、もう片方の目を入れて完成させます。
用途によって入れるタイミングはさまざま。
・家庭用・会社用(年間の願い・目標)であれば年末や節目に、
・合格祈願・選挙などの達成型であれば、決着がついたタイミングで。
願いをかけながらまず右側(だるまの左目)に墨を入れ、
願いが叶ったとき、あるいは節目の時期にもう一方の目を入れる——
これは少林山達磨寺の伝統で
選挙の当選シーンでよく見る、あの流れです。
願いが叶わなかった場合は、目を入れるかどうかは、自由。
だるまが悪いことから守ってくれた、と考える地域もあるのだそう。
役目を終えたら感謝を込めて
一年をともに過ごしただるまや、願いに区切りがついただるまは、
地域の神社やお寺でのお焚き上げ供養をお願いするのがいいとされています。
だるまは縁起物であり、願いを叶えるためのシンボルとして魂を吹き込まれたもの。
節目の時期を迎えただるまは、雑な扱いをせず、
感謝の心で適切に見送ってあげてください。
だるまの目入れが時代とともに変わったワケ
実は昔のだるまは、最初から両目が描かれていたと言われています。
仏像と同じく「両目が揃ってこそ力を発揮する」と考えられていたからだとか。
しかし江戸時代、目の病が流行した頃に“大きな黒い目のだるま”が人気となり、
その後、願掛けの文化が広まるにつれて、
「自分で目を入れたい」というニーズが生まれ、
今の“片目のだるま”が生まれたのだそう。
現代の“片目に願い、両目で成就”というスタイルは、
選挙の当選シーンのテレビ映像によって世に広く浸透したと言われています。
だるまの目入れに厳密なルールはありません。
大切なのは、願いを込めるその瞬間と、
だるまと過ごす一年をどう大切にするか、ということ。
あなたの願いに寄り添ってくれるように、
だるまを迎え、目を入れ、そして一年を共にしてください。
