300年つづく町の手仕事ー三州鬼瓦

瓦づくりの盛んなまち、愛知県三州地方。
古くから続くこの土地の手仕事のひとつが 三州鬼瓦です。
今回は、その歴史や製造技法、鬼師についてご紹介します。
三州鬼瓦のはじまり
日本で瓦づくりが始まったのは約1400年前。
その長い歴史の中で、三州地方が瓦の産地として歩み始めたのは1700年代のことだったのだとか。
城下町の発展とともに、一般の家々へも瓦葺きが広がりはじめ、
三州の地は産地として大きな追い風を受けるのです。
・矢作川がもたらす良質な粘土
・海運に恵まれた良港
そして享保5年(1720年)徳川吉宗による瓦葺奨励。
これらが重なって、三州瓦の産業は本格的に発展していったのだそう。
職人たちの技術が磨かれるにつれ、品質は全国でも高く評価されるようになり、
現在では全国生産量の約70%を占める一大産地となっているんです。
2017年には三州鬼瓦が国の伝統的工芸品に指定され、
300年以上受け継がれる技としてその存在が確かなものになりました。
鬼瓦の役割
屋根の端に据えられる鬼瓦には、魔除け・厄除けとして家を守る役割があると言われています。
約1,150℃の高温で焼き上げられ、仕上げには燻化(いぶしか)と呼ばれる工程が行われます。
酸素を遮断することで、表面に炭酸被膜が生まれ、鬼瓦ならではのいぶし銀の色が現れるのです。
近年は、屋根飾りに限らず、玄関やリビングに置くインテリアとしても楽しむ人が増えているのだとか。
鬼師とよばれる土と向き合う職人たち

鬼瓦を作る職人は"鬼師"と呼ばれます。
粘土の成形から模様付、磨き上げまで、
多くの工程が手仕事で行われているのです。
成形では石膏型を使うこともありますが、
仕上げは、木べら・金べら・竹べらを使った細かな作業の積み重ね。
粗彫り・シビ・ミガキなどの技法を用い、表情の細部や家紋の線の張りを
丁寧に整えていくのです。
三州地方には技を未来につなぐための愛知県瓦高等職業訓練があり、
若い職人たちが日々技を学んでいるのだとか。
鬼師が手がける2026年正月飾り

100年の伝統を守り継ぐ窯元「神仲」の職人が、長年の経験と高い技術を駆使して生み出す、新年にふさわしい特別な迎春飾り。
伝統の技が光る干支瓦で、新しい一年が「うまくいく」ようにという願いを込めて。
ただいま ご予約受付中。
新しい年を迎える小さなお守りとして、取り入れてみてはいかがでしょうか。

