開創330年の祈りが灯る夜 ― 少林山 七草大祭とだるま市
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冬の冷たい空気の中で焚かれる灯明、響き渡る祈祷の声。
そして、境内いっぱいに広がるだるま市の賑わい――。
開創当時から受け継がれてきた祈りと、土地の人々の願いが重なり合う、330年以上続く伝統行事についてご紹介します。
七草大祭とは ― 星に祈りを捧げる夜通しの祭典
七草大祭は、少林山達磨寺の開創当初から続く、古い星祭の行事。
人々の吉凶や家の方位を司るとされる霊神に祈りを捧げ、
無病息災・家内安全・商売繁盛・厄除け・良縁成就・受験合格など、
一年の安寧を願うための祈祷が夜通しで行われます。
1月7日午前2時に本尊様が降臨すると伝わる「星祭大祈祷」は、
この祭の中心であり、境内が最も一体感を帯びる瞬間なのです。
前日の6日夜から始まる前夜祭には、多くの参拝客が集まり、
澄んだ空気の中で新しい年への祈りを静かに重ねていきます。
信仰の中心 ― 北辰鎮宅霊符尊(ほくしんちんたくれいふそん)
達磨寺の本堂・霊符堂に祀られているのは、北極星を神格化した北辰鎮宅霊符尊。
動かぬ星として天の中心に存在し、
過去・現在・未来を見渡し、善を招き、悪しき星を祓うとされる御本尊です。
達磨寺が前橋城の裏鬼門(南西)を守る位置に建てられたのも、
その強い守護力に寄せられた信仰の深さゆえ。
現在では、関東随一の方位除・八方除の祈願所として人々に親しまれています。
だるま市の起源 ― 飢饉の時代に寄り添った寺と村人の物語
七草大祭と同じく、多くの人が楽しみにしているのが「だるま市」。
実はその始まりには、心温まる歴史が隠れています。
約230年前――天明の大飢饉。
多くの農民が苦しむ中、達磨寺9代目・東嶽和尚は農民を救うため、
寺に伝わる越州禅師の「一筆達磨札」を型にし、張り子のだるまの作り方を伝授しました。
副業として売ることを許したことで、農民たちの生活は少しずつ立ち直っていくのです。
こうして誕生したのが、現在につながる「少林山七草大祭だるま市」。
境内にずらりと並ぶ赤いだるまは、
そのひとつひとつが願いと救いの歴史を今に伝えています。
数十万人が訪れる大市
いまのだるま市は、数十万人が足を運ぶ大きな市。
寒空の下に屋台の明かりが並び、色とりどりのだるまが境内を彩ります。
サイズは掌に収まるものから、両手で抱えるほどの大型まで。
願掛けに選ぶ瞬間もまた、この祭の楽しみのひとつ。
開催概要
・開催日:1月6日夜〜1月7日朝(7日午前2時:星祭大祈祷)
詳細はHPをご確認ください
https://www.daruma.or.jp/
